架空的日本美-千年女優-
昨夜からWOWOWで始まった「妄想代理人」というアニメーションを鑑賞。このアニメーションの監督は、世界が注目する日本のアニメクリエーターといわれているらしく、それには私もうなずける。
その前日、WOWOWでは、このクリエーター監督作品を2本続けて放送。はっきり言って、アニメーションを見ているというより、お芝居を見ているような感じ。アニメーションといえど侮れない世界に引き込まれる。
「PERFECT BLUE」という初監督作品はアニメーションなのにサスペンス。謎がどんどん加速して、なかなか考える機会を与えてくれない。見ている私も混乱してしまいそうでマジ怖くなる。
鮮烈な監督デビュー作の次は、サスペンス性は薄れ、ファンタジックな要素が強調された一篇のラブストーリー「千年女優」。スティーブン・スピルバーグの会社ドリームワークスで世界配給をしたという作品だ。
かつての大女優・藤原千代子の回想として始まる物語は、次第に彼女の過去物語から飛び出し、出演していた映画の中を駆け抜けて、聞き手も巻き込んだ現実と幻想の世界を交錯するスペクタクル物語へと跳躍してしまう。このあたりが非常に「演劇的」。私のアニメーションに対する新しい認識を植えつけた。
「古き良き日本」の世界といえばいいのだろうか。あくまで現在から抽出された個人の中にあるイメージの世界。美しい思い出は、辛いことなど濾過されて、結晶のような美しい若さと純真さだけが過去のイメージとして残るもの。幻想に過ぎないということを自覚して、過去の歴史と向き合うことは、姿勢としては誠実そのものなのかもしれない。
まるで劇場で物語を鑑賞しているかのような演出と、日本的な美の世界を共存させた「千年女優」は、極めて稀な作品かもしれない。本当にアニメーションといえど侮れないなぁ。
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