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THE COVE [ザ・コーヴ]

那須塩原でザ・コーヴ

和歌山県太地町のイルカ漁を批判するアメリカの映画「ザ・コーヴ」を那須塩原で観た。この映画をめぐって日本では、「反日映画だ」などとして上映中止を求める抗議活動が全国各地に起こり、実際に上映を取りやめる映画館もあった。

追い込み漁によって映画タイトルである“コーヴ(入り江)”に閉じ込められるイルカの群れ。そのうちの何匹かは世界中の水族館などに売られ、残りのイルカは槍で突き刺され、入り江が真っ赤に染まる──それを暴くための映画だった。

正直な感想として、これは「うまくない映画だな…」と思った。なぜなら結論ありきの映画だからだ。特にそれを感じさせるのが、食用で売られているイルカ肉に含まれる水銀値が高いことを訴える場面。理由が後付けである感が否めない。
これを観た日本人のほとんどは、映画制作側の全面的な支持者には成りえないだろうし、はじめからイルカやクジラ漁に反対する人しか共感できない。

この映画を観て、いくつか収穫もあった。
まず、少なくとも映画制作側にとってイルカは「魚ではない」こと。彼らにとっては「イルカ漁」ではなく「イルカ猟」なのだ。それから彼らは、私たちと同じ「人間」のような感覚でイルカを捉えているのだと思う。彼らとそれを支持する人たちの中には「日本のイルカ猟は非人道的だ」とまで言っているかもしれない。(←ひょっとしたら映画の中で言っていたかも?)

それから、この映画が最も訴えたいことは「イルカを食べることがいけない」ということではない。本当は「日本は野生動物の滅亡や虐待、虐殺に無関心な国である」ということなのだろうと思う。「訴えたい」というよりは、「レッテルを貼りたい」に近い感情。だけどそれが非常に伝わりにくい映画作品になっている。日本のイルカ漁やクジラ漁に対する説明(認識)が不足している。一方的な視点で描かれており、違和感を覚える人はきっと少なくはないだろう。

1960年代のアメリカの人気テレビ番組「わんぱくフリッパー」で調教師兼俳優として活躍したリック・オバリー氏の「イルカへの愛情」はひしひし伝わるし、イルカと一緒に波乗りして、サメに襲われるところをイルカに助けられたサーファーや、イルカやクジラと一緒に泳いだフリーダイバーらの体験に基づく「殺さないで」は理解できるし、それは許せるなと思った。それこそ、リック・オバリー氏のイルカへの愛情と情熱的な献身(イルカ解放活動)のドラマだったら感動はしたかもしれない。彼は純粋にイルカを愛している。それは映画の中でよくわかった。

私が思う最大の問題は、映画の中にも出演者として登場する監督のルイ・シホヨス氏をはじめとする映画制作側(OPS)に愛が感じられないことだった。これは映画編集の問題かもしれない。シホヨス監督が入り江の秘密を暴くために、選り抜きのスペシャリストを招集してチームを作り、盗撮ミッションを遂行する過程を少なくとも映画の中に3分の1強は入れたことがその原因のような気がする。ただ「暴きたかっただけ」、「力を示したかっただけ」のような印象を持ってしまったことが残念だ。

映画を観た帰り道、ずっと車の中で考えたことがある。
それは映画の中で出てくる「日本の文化」という言葉。リック・オバリー氏のいう「(日本人なのに)誰も知らないイルカ漁を日本の文化といえるのだろうか?」という言葉と、漁師のいう「(昔からやっている)イルカ漁は日本の文化」という言葉。
私の認識では、あくまでも「ローカルな文化」なので、これを「日本の(共通の)文化」というニュアンス(?)で、ひとくくりにされてしまうことに疑問符が。私的に、なんだかしっくりこないのでありました。
(※ケンミンショー的なご当地グルメとか風習とそれは同じで)


※別の見方・考え方として、とても参考になる感想がありました。なるほど…と思いましたので、こちらも参照されることをおすすめいたします。

■The Coveの感想:これはやばい
http://katukawa.com/?p=3667


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映画・テレビ・舞台・アニメ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。映画をご覧になったとのことで、ひとつ知っておかれるべき情報がございます。いちおう事実ですので、ご面倒かと思いますが、読んでみてください。

入江にサーフボードで不法侵入をして太地町の漁師に追い出されて泣いている女性活動家の2人、サメに襲われた時にイルカに救われたとコメントしているプロサーファー、重要な証言を行なっているオーストラリアの元閣僚はシー・シェパードのメンバーです(シー・シェパードの公式サイトに書いてあります)。「グリーンピース共同設立者」という肩書きで出てくるポール・ワトソンさんはシー・シェパード代表です。製作のOPSはシホヨス監督が2005年に共同設立した非営利団体で、シー・シェパードと協力関係にあります。

参考:OPSの公式サイト http://is.gd/dnyIE
※現在このページは修正されています。

以上です。読んでいただいてありがとうございました。

投稿: mina | 2010/07/27 02:41

minaさん、こんちは!
はじめまして。詳しい情報ありがとうございます。

なにかと話題のシー・シェパードですが、
日本で伝えられるニュースと、
アメリカやオーストラリアで伝えられる姿が
一致しない部分もあるみたい(多い?)なので、
この映画の中にある情報も注意が必要ですね。

なので私、映画作品は映画の話としてしか
観てないというか、観ないようにしています(笑)。

投稿: 濱祐 | 2010/07/27 11:18

あたたかいお返事ありがとうございました。

事実以上の話は難しくてできませんが、ただ配給側、上映推進している方々、マスコミが言わないのがなんとなくずるいなと思って、コーヴを観たと書いておられる方のブログにコメントを書かせていただいてます。

少なくともこの映画も抗議活動のひとつに過ぎないのだろうなとは思います。
大変失礼いたしました。

投稿: mina | 2010/07/27 13:11

minaさん、こんちは!
こちらこそコメントありがとうございました。
それぞれいろいろ事情(?)があるとは思いますが、
つまるところ、これは映画作品なので、
観て判断して欲しいということだと思います。

ただ、この映画の中で提示されている
材料だけで判断してしまうのは、
どーかなぁ?と思ってますけどね(笑)。

よかったら、また情報等あれば教えてくださいませ。

投稿: 濱祐 | 2010/07/27 14:37

はじめまして。

私の地域は上映がまだ未定なのでみていないんですが、素朴な疑問なんですが、イルカはどのように調理して食べるんですかね?

以前、茨城へ行った時にスーパーで切り身を売っているのを見て驚いたことがあります。イルカ漁のことは知らなかったので...

もしご存じでしたら教えて下さい。

投稿: じゅのん | 2010/07/27 16:41

じゅのんさん、こんちは!
はじめまして。茨城のスーパーに切り身があったとは、
ちょっとビックリですね~(←隣県ですから)

イルカの部位にもよると思いますが、
基本的にはクジラ料理と同じなんじゃないですかねー。
(注:私の母親の田舎・和歌山県の那智勝浦の場合)
クジラの代わりにイルカを使って、というパターンが多かったような?

あと、詳しくは知りませんけど、
静岡では煮物が多いって聞いたことはあります。

イルカは特に「ローカルフード」なので、
ほとんどの人は知らないでしょうねぇ。。。

投稿: 濱祐 | 2010/07/27 17:13

そもそも太地のイルカ漁が世界的に注目されたきっかけは、シーシェパード(SSCS)の妨害です。その時の逮捕者には、ポールワトソン代表の2人目の妻も含まれており、彼女はその後AFL(動物解放戦線という過激な団体で、実験動物解放のために、時限爆弾で人間を殺そうという連中)のメンバーと目され、地下に潜伏し消息不明です。リック・オバリーもSSCSとしばしば共同作戦を行っており、関係を否定するも非常に深い仲です。イルカ漁の画像にSSCSが賞金出したりしていますし、ある意味SSCSの作戦変更からきた、偽装別働隊の作成した映画です。

その関係に詳しい人間には常識ですが、この映画の最大の目的は、日本人がこんなひどいことしているから、シーシェパードに募金して、もっと日本人をやっつけろです。アカデミー賞も、SSCSに金やコネが大いに貢献しているでしょう。
参考までに

投稿: dnakano | 2010/07/27 21:26

dnakanoさん、こんちは!
はじめまして。情報ありがとうございます。

たぶん、網を切ってイルカを逃がした事件の話ですよね。
映画の裏事情はいろいろありそうですが、
この映画を観て募金をしようと思う人がいることに
私としては驚きなのですが、ゼロってことはないかもなぁ(苦笑)。

まぁ、日本人をやっつける(?)ことは目的ではないでしょう。
(もし、そうであれば環境保護団体ではないなぁ)
コメントありがとうございました。

投稿: 濱祐 | 2010/07/27 22:25

これがアカデミー受賞作品……
ドキュメンタリーも賞の対象にするつもりなら、ドキュメンタリーとしての質もちゃんと審査するべき。都合のいい部分だけを映像に、というより、自分の都合のいいように映像を編集して事実をゆがめているのが問題。アメリカ退廃の象徴にもみえる。
NHKの番組でも、シーシェパードの懸賞目当てに作成された映画と指摘していましたし、そもそも太地だけで年間2万3千ものイルカは獲れない。
反捕鯨の人たちは、感情論で非科学的なめちゃくちゃな論理で、対話にならない人が多いようです。困ったもんです。

投稿: covo_neko | 2010/07/28 10:49

covo_nekoさん、こんちは!
はじめまして。コメントありがとうございます。

感情論は、それはそれでいいと思います。
(感情論自体は否定しませんという意味で)
この映画の中で提示されている情報の全てが
信じられるものではないことは確かだと思います。
年間23,000というイルカの捕獲数は、
日本全体の年間捕獲数のことでしょうねぇ。。。

NHKの番組、おそらく「クローズアップ現代」のことかと思います。
昨日ネットで視聴しましたが、ドキュメンタリー作品の
手法(というか程度?)が違うようですね。
なるほど~と思ってしまいました。

投稿: 濱祐 | 2010/07/28 13:35

私もこの映画の中で、「日本の文化」と言い切ってしまうのは難があると思いました。日本の大部分の地域ではイルカを好んで食すことはないと思いますので。

実は私もここ数年の“日本のイルカ漁バッシング”報道で初めて実情を知るようになった次第です。それまでは“え?そんなの嘘だよー。鯨は昔から食べられてたみたいだけどねー”と平気でコメントしていました。

実家のある静岡の海辺のスーパーで“イルカ肉”のパック詰めを見た時には驚愕しましたが、漁の網の中に入り込んで網を破ってしまうイルカを殺すのは止むを得ないことなのだそうで、捨てるのも勿体無いので二束三文で肉を売りに出すのだそうです。母に言わせると“獣臭くてニンニクとか生姜とかをたっぷり入れて醤油で煮込まないと食べられたものではない”のだそうです。

実は私、スペイン人の夫に昨日突然言われ、びっくりして早速一戦をまじわしたところです(^-^;

投稿: iberico | 2010/07/28 16:24

ibericoさん、こんちは!はじめまして。
外国人のパートナーと一戦交えましたか。
勝手な想像ですけど、なんとなくいろいろお察しいたします。。。

日本国内のこととはいえ、
いっしょくたに「日本の文化」といわれても…ですよねぇ。。。
ましてイルカは「地産地消」のレベルですから。

和歌山県の那智勝浦では、刺身にして食べることもありますけど、
感覚的には「馬刺し」みたいなものでしたね>私的には

貴重な静岡のイルカ食情報(?)ありがとうございました。

投稿: 濱祐 | 2010/07/28 18:01

アメリカ在住です。映画はオリジナル版を観ています。
「水銀値が高いことを訴える場面。理由が後付けである感が否めない。」という部分に同感です。

水銀の害を伝えるというのは、彼らの表現手法でしかなく目的ではないように思います。目的は、その理由はなんにしても「イルカを殺すな」ということでしょう。監督自身もアメリカのテレビインタビューで「イルカを殺すなというためには、水銀の害をロジックの根拠にするしかなかったんだ」と語っています。

いずれにせよ、環境破壊により、生物濃縮が進み、結局は人間にそのつけが回ってくるというのは事実で、これについて真摯に受け止める必要があると感じました。

日本の文化は、多くの地方に「御当地物」があるのように、数多くの多様な地方の文化の集合体です。その多様性を守っていくのも国の責任のような気がします。

投稿: rh | 2010/07/28 19:38

rhさん、こんちは!
はじめまして。コメントありがとうございます。

やはりそうでしたか~。
彼らのいう「水銀値が高いので食用に適さない」は、
あくまでイルカを殺させない(食用にさせない)ための
説得材料(理由)の1つに過ぎないということですよね。

イルカの水銀の問題は(数値は別として)
彼らの言うことに間違いないことだけど、
もともとイルカを食べる文化のない人たちにとっては、
本来、気にする必要はない情報ですし、
人間って、自分と関係ない(自分にとって害のない)情報は、
いい加減に扱ってしまいがち。だから容易に
「害があるのなら食べるべきではない」っていう思考に傾きやすいもの。

水銀の害があるってメッセージは、
この映画の中では「食べる人」に向けてではなく、
もともと「食べない人」に向けてなんでしょうね。
(賛同者を得るため、賛同者に科学的根拠を与えるため)

この映画での水銀の部分、ちょっとスッキリいたしました(笑)。
本当にコメントありがとうございました。

投稿: 濱祐 | 2010/07/28 23:30

とっても複雑な気持ちで映画を観てました。
一歩的な日本バッシングですが、日本の国民が殆ど知らないことなのに・・・

マグロの捕獲でイルカが巻き網に巻き込まれて間違って獲られることは以前から知っていたが、意図的なイルカだけの捕獲があるのはこの映画で初めて知りました。正直なところ、イルカを食べる必要があるか、と思ってしまいます。

そしてこの映画で知ったのですが、
マグロやイルカやクジラなどの大きな魚には水銀が大量に含まれることに驚きました。本当は大きい魚には限らず、海の生き物の殆どは人間のしわざで毒されているのですね。ホントに悲しい・・・

投稿: mercury | 2010/07/29 18:41

mercuryさん、こんちは!はじめまして。
今でも知らない人は多いことだと思いますねぇ。。。

意図的なイルカの捕獲はたしかにありますが、
基本的にはそのものを食べるための漁ではないことを、
この映画では語っていないんですよね……。
(現代ではイルカ肉の確保が第一ではない)

プランクトンを小魚が食べ、小魚を大きな魚が食べる。
食べられる毎に水銀が高濃度で蓄積されていくことは、
この映画で提示された通り間違いありませんが、
現状では極端に偏った食べ方をしない限り問題はなさそうです。

というのは、
水銀は体内に吸収された後、自然に排出されるから。
排出される量よりもたくさん摂取してしまうことで
水銀中毒になるようです。←いろいろ調べた限りでは

投稿: 濱祐 | 2010/07/29 22:51

現在ニュージーランドに住んでいていて、以前友人と一緒にこの映画を見ました。

私の他は全員イギリス人でしたが、みな口をそろえてイルカ漁の残酷さを非難してましたよ。水銀の値が高いとかそんなの全く印象に残っていませんでした。ただただ「怖いもの見たさ」のようなノリでした。「ひどい」「残虐だ」「oh my god!」の連続でした。

私は太地町へも行ったことがあったしイルカ漁のことも食肉のことも知ってました。(海外では捕鯨のことでしばしば外国人から辛口の質問をされることもあるので、そのたびに自分でもどのようなことが問題か調べていました)

The Cove は、問題提議としては有効だったのかなとも思います。映画の作りが明らかに「アメリカ人のかわいいドルフィンちゃん目線」だったことと偏った内容や編集での印象操作に腹が立ち、映画がつたえようとしている(のか?)問題に自分自身目を向けそこなっていました。

このサイトで「ああ、冷静になって何が問題かを見極めないといけないな」と気付いたのですが、それを気付かせるにはこの映画は見せ方が偏りすぎていると思います。
問題の本質を微妙にスライドさせながら、制作側の「ドルフィン愛」をモリモリに盛り込んだヒューマンドラマのようだったと思います。これをドキュメンタリーと呼ぶのはどうかと思います。

イルカ漁の是非ではなく、とにかく製作者側の意図的な情報の操り方に疑問を感じます。

投稿: Aotearoa | 2010/07/30 11:42

Aotearoaさん、はじめまして。こんちは!
海外に住んでいると、捕鯨問題で質問とか、
怒りをぶつけられることって、ありますよねぇ…。

本当に伝えたいこと、伝わりにくい映画だと思います。
おそらく、国内外の世論(外圧)によって、
目的を実現させたかったんじゃないかな。
ゆえに、なかなか観る者に伝わりませんし、
これでは感情が(反射的に)先走ってしまいがちで、
全然「議論」になりません。
(ひょっとして、議論したくないかも知れませんけど)
そういう意味で本当に、映画としてはレベルの高い
ものじゃないなぁ…と生意気にも思ってしまいます。

コメントありがとうございました。

投稿: 濱祐 | 2010/07/31 01:29

なぜこの映画をみんなが「反日」というのかが私にはイマイチ理解出来ないんですよね。制作者はあくまで動物愛護の精神だと思います。

あの猟の仕方をみたらやはり悲しい気持ちになりました。残酷です。
私は命を奪う伝統文化はなくなっていいと思います。

投稿: みりん | 2010/07/31 11:08

みりんさん、こんちは!
はじめまして。コメントありがとうございます。

私も「反日」という言葉を使うほどの内容とは思えませんが、
「日本のイルカ漁を批判→日本の文化を批判→だから反日映画だ」
といった一足飛びの結論に飛びついてしまったのかなーと想像してます。

入り江が真っ赤に染まること(残虐なこと)だけでも
お互いの共通認識・問題であるとするならば、
その解決はさほど難しいことではないと思いますけれど、
魚を獲る漁師としては、獲ろうとしている魚を食べてしまう
(あるいは漁具や網を破って中の魚を食べてしまう)
イルカという動物は、生活を脅かす存在でもあるんですよね…。
(地元の人間とイルカの魚の奪い合いということ)

映画の中で、イルカ漁は「日本の文化」と、ひとことで言っていますが、
それはいわゆる保存が必要な「伝統文化」のことではなく、
漁師生活の中で今もなお生きている文化。
この辺が難しいところのような気がします。。。

投稿: 濱祐 | 2010/07/31 20:07

映画みてみましたが、主題というか目的はイルカ漁をやめさせることのようだが、いくら「イルカを殺すのは残酷だ」と言われても、一般の日本人に訴えかける力は弱いだろう。

クジラやイルカを殺して食うのが悪いとは思わないが、必要な量以上に殺しているのではないか?もしクジラだと偽って販売されるのならイルカもうかばれない。

イルカに芸を仕込むのが流行らなければ、欧米人にとってもイルカは単なる哺乳類の一種であり、日本でイルカを殺していてもなんのニュースにもならなかったろうに。

投稿: 潜水馬鹿 | 2010/08/01 14:42

潜水馬鹿さん、こんちは!
はじめまして。コメントありがとうございます。

映画を観てから数日いろいろ考えましたが、
私も含め、おそらく大多数の日本人は、
野生動物もペットも家畜も、同じく等しい「動物」で、
「哺乳類」とか「魚類」というような生き物の種類に関係なく
同じひとつの「生命」として捉えている。
だから同じ「生命」には優劣とか順番ってつけていない。
根本的にその部分が、彼らとそれを支持する人たちと
違うのかな?と思ったり。。。

入り江が真っ赤に染まるシーンを観たとき、
私はその行為の「残酷さ」にあまり浸ることはありませんでした。
「これが食べるということ。これが町の産業ということ…」
生活することって、実はこういうことなんだ…と。
「実は」ということは、これが真実だということなんですよね。

私たちが食べるために、ほかの誰かが動物たちの命を奪って
食糧にする。人々の一番やりたくない、でも必要とされている
ことを、仕事として請け負ってやってくれる人がいる。

この映画はやっぱりヒドイ。漁の最中の漁師の笑い声や、
イルカに致命傷を与えようと突く場面、瀕死のイルカを船に
乱暴に引き揚げる様子をわざわざじっくり見せている。

この残酷な部分を最大の見せ場にしている「ザ・コーヴ」は、
「命をいただいていること」を意識しているひとりの人間として、
とても痛々しいものを感じます。

コメントなのに長文になってしまってスミマセン。。。

投稿: 濱祐 | 2010/08/01 23:03

はじめまして。このブログのレビューとたくさんのコメントを拝見して考えが変わりました。たくさんのブログでレビューを読んでいて、「盗撮と捏造が多いこんな映画見るもんか!」だったのですが、このレビューでは盗撮と捏造が問題であることにほとんど触れずに、映画が訴えたいことを解明しようとしている。みなさんのコメントを読んで、だから見てから自分なりに考えを出そうと思ってます。

右翼団体が上映中止を呼びかけ、上映中止になった映画館があることを以前ニュースでやっていたので、親が見に行くことを反対してきますが、見ることに価値があると思ったのです。僕はまだ中学生ですが、国民にも知る権利があるし、国際情勢までかかわってきています。夏休みの課題に研究して提出しようと思います。

投稿: ロックオン | 2010/08/02 00:48

ロックオンさん、はじめまして。こんちは!

私も上映中止を呼びかけるニュースなどを知っていたので、
ものすごい内容(?)の映画かなーと期待してたのですが、
そうでもなくて、思っていたより観れる映画だったなーと。
でも、高いレベルの映画だとは思わなかったですけどね。
はっきり言って、人に観ることをオススメしたくない映画です(笑)。

私には映画の中の情報が、捏造なのか、ただの勘違い、
あるいは無知からきたものなのかは判断しかねますけれど、
ザ・コーヴを観た人が、映画の中で提示された情報を
そのまま鵜呑みにすることなく、調べられる範囲で情報の
検証と確認をして欲しいと思っています。

いろいろ発見があって面白いですよ(笑)。

投稿: 濱祐 | 2010/08/02 10:25

またまたおじゃまします。

2点ほどコメントします。
1.水銀問題:最近の研究では、イルカやマグロに自然に蓄積したメチル水銀に対し、それ以上のセレンがあることで、イルカやマグロは水銀を中和しているようで、同様に人間も、イルカやマグロに含まれるセレンを同時に摂取することで解毒作用が期待できるそうです。ただ、マグロに比べイルカはセレンの比率が低いので、(特に妊婦さんは)食べ過ぎには注意です。
2.反日に関しては、この映画の目的ではないのですが、アメリカ人(特に白人)の潜在的な人種差別の琴線にうまく触れているというか、攻撃し易いターゲットにしたという部分はあり、人種差別的な扇動をしたのは事実です。オーストラリアの日本人墓地破壊は典型的一例かと思います。作っているほうは募金さえ集まればいいので、誰でもなんでも利用する連中ですから、覚めています。詐欺師は冷静じゃないと人をだませませんから。

投稿: ednakano | 2010/08/11 21:44

もうひとつ言わせていただければ、この映画の製作者は、議論をする気は毛頭ありません。議論で問題を解決することは、自分たちの活躍の場所を失い、活動がやりにくくなるからです。欧米の環境保護ビジネスは、問題の解決より問題の永続を望んでいます。なぜなら問題が解決してしまうと、別なネタを探して騒がなければならないからです。もはや、環境保護の名のもとに、WWFのような企業の隠れ蓑になるか、グリンピースやシーシェパードのように目立つことで募金を募るだけで、現実の環境に関する小さな努力や、飢えた子どもの救済には目を向けず、最大の環境問題の解決である、森林の保護に熱心な団体は少ないです。

投稿: ednakano | 2010/08/11 21:56

ednakanoさん、こんちは!
詳しい情報とコメントありがとうございます。

映画の内容以外のことはよくわかりませんが、
この映画を作ったルイ・シホヨス監督らは、
対話とか議論は望んでいないように感じられます。

映画を観た限り、リック・オバリー氏は、
ただ「イルカを救いたい」だけでの行動なので、
私的には彼は許せる範囲なのですが(苦笑)。

そもそも私は、映画自体をあまり観ない方ですが、
この映画を観終わって最初に出た言葉が、
「ヒドイ映画」でした。

この映画のどこが面白いんだろ~?
もっとマシな映画を作れなかったのかなぁ?

今思うと、日本人の私に、
この映画がよく伝わらない理由、
少しわかったような気がしています(笑)。

わかる人にだけ伝えて、賛同してもらい、
募金してもらう、ということかなぁ。。。
(そういうところが、ますます映画として許せん!)

投稿: 濱祐 | 2010/08/12 18:10

はじめまして。
この映画に対しては「反日的」だとか「人種偏見に基づく文化侵略」だとか言われてますが、確かにそういう面もあるとは思います。もともと反捕鯨運動はそういう観点から出発しているみたいですし。

ただしリックオバリー氏のように、純粋にイルカ救済を目的として映画に参加した人の場合、前半でイルカショーのビジネスを批判しているように、あまりこうした思想が薄いような気がするのです。とはいえ彼のイルカへの愛というのは偏狭な思想であり、イルカを虐待・虐殺する人間には懲罰を与えるべきだと言う考え方は完全にカルト思想と言うべきものでしょう。これはクジラ・イルカイデオロギーとも呼ばれるそうで、外国でもカルト・セクト扱いしているみたいですね。

この映画はアカデミー賞を受賞した作品としては全米でも異例の興行収入の低さだそうで、やはり一般的アメリカ人には同情や共感もしてもらえないみたいです。考えてみれば彼らの大半は元々は狩猟民族であり、野生の動物を狩ってその肉を食らうのは日常的な生活の一部だったわけで、自分たちの食わないクジラやイルカを食うなどとは野蛮な奴らだと内心では考えていても、それに対して特別に非難する人間は本当にごく一部しかいないものと思われます。反捕鯨に熱心な運動家を変人扱いしている、とも聞いたことがありますしね。

投稿: 中佐 | 2010/08/23 17:13

中佐さん、こんちは!はじめまして。
忙しくてレスが遅くなってスミマセン。

私は映画観賞の素人(?)ですけど、
特に「反日的」だとか、「文化侵略」なんてことは
全然思わなかったですね。

ただ、リック・オバリー氏に対しては、
映画の中でシホヨス監督が「キチガイ」という言葉で
語るように、私もそう思ったなぁ(笑)。

でもそれは、「愛せる(許せる)キチガイ」。
それに対し、シホヨス監督は「許せない」レベルですねぇ。私的には。
(まぁ、映画の作り上、一番の悪党に見えてしまうけど)

映画の題材としては(素直に)面白いと思いますが、
作品としては「ヒドイ」の一言に尽きますねぇ。。。
(ホント、もっとマシな映画を作れんかったのかと)

投稿: 濱祐 | 2010/09/11 22:45

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