自然災害とIT活用に関する国際会議「big tent」
2012年7月2日に仙台で開催された自然災害とIT活用に関する国際会議「big tent(ビッグテント)」に参加しました。昨年の東日本大震災以降の私は、開発の現場から遠ざかり、もうすっかり被災地のインフラ復旧や導入整備、保守エンジニアの人と化しているのでありますが(苦笑)、まぁ、たまには勉強とか学びも必要だよなぁ……ということで、後ろの方で静かに会議を傍聴させていただきました。
ちなみに、この国際会議の主催者はGoogle社。翌日には同じく仙台で開かれる「世界防災閣僚会議in東北」の場でも同社のプレゼンテーションがあるというタイミング(というかスケジュール調整)のよさは、さすがだな~と感心いたしました(笑)。
さて、本題の「big tent」の中身ですが、Google社としては、各国政府に情報公開をもっと行うように、かつ、その情報は「オープンデータであるべき」と主張しています。
「オープンデータ」とは何ぞや?と、開発現場から離れた私の頭には、なんとなくイメージ解釈できるまで、少々時間が必要でしたが(^_^;、要は「フォーマット」と「誰もが自由に使える公開の調査データ」ということのようです。(←たぶん!)
日本の企業や行政機関あたりを想像してもらうとイメージしやすいかと思いますが、特に事務職の人が紙ベースの文書をWordなどで作り、それをPDF化して(あるいはWordのままで)Webに公開する流れがあります。それが今の一般的な「業務の流れ」ではあるのだけれど、その公開する時のデータは、PDFを代表とするような「クローズドデータ(二次的利用ができないデータ)」ではなく、機械で自動的に読み込めるような「オープンデータ(そのまま読み込み利用できるデータ)」にしましょう!というのがGoogle社の提案であり、有識者と開発担当者たちの声でもあるんだな。
また、この国際会議では、情報の発信側の問題も多々あるが、受け手側のリテラシーが求められることも指摘されています。災害の発生時にITによる情報の恩恵を最大限生かすためには、今後もリテラシー教育は必要不可欠。国連防災部門の代表スピーカーは、「得られた情報をいかに使うか、個人と組織、自治体や国にまでを含む、すべてのユーザーたちに教えるべきことが多い」とも語っていました。
上の写真は8面のモニターに映し出される巨大なGoogle Earthのコーナー。今回の国際会議用に、真ん中の1面(写真の黒い画面)以外は、震災前の映像が映し出されるようにセットアップされていました。国際会議のホワイエでは、このほかに日本版のPerson Finderのデモコーナーもありました。東日本大震災でも活躍したPerson Finderですが、日本版はいろいろと課題が多そう。このことでGoogle社の人と意見交換できたことはよかったですねぇ。。。
Google主催の自然災害とIT活用に関する国際会議「big tent」は、世界中の様々な事例を提示して語り合い、そこから学び合って、今後に備える、そんな感じの開かれた国際会議という印象を持ちました。
ある意味、これは私の偏見なんだけど、こういった種類の会議って、「データは使えて当たり前」とか「提供されて当たり前」的な、同じ思想の人たちの話になりがちなのだけど、その偏りは感じつつ、情報を出す側に対する「あたりのやわらかさ」を少し感じることもできました。
国と地方自治体、企業や個人など情報を発信する側が、そもそも人手不足&パワー不足であることや、その人員の中で本来の業務以外にITの労力を割かねばならない現状が、たぶん最初はGoogleも専門家たちも理解できていなかったのかな?(災害時であればなおさらのことで) これを想像することができないギャップは非常に大きい。技術の進歩とともに、この部分もなんとかしないとねぇ。。。そんなことも思った仙台での会議でありました。
※私の主観たっぷり記事以外に、下記リンクも参照することをおすすめいたします。無論、こっちの記事の方が客観的で内容がよくわかるはず(笑)。[2012/7/5追記]
■NHKニュース WEB特集 災害時のIT活用 今後の課題は
※後ほど、この国際会議で語られた詳しいリポートが追加される模様です。個人的には復習を兼ねてチェックしたい記事ですなぁ。。。[2012/7/6追記]
■Impress Innovation Lab.【Big Tent: 2012報告(1)】
自然災害とIT活用に関するGoogle主催の国際会議が日本・仙台で開催
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コメント
こんにちは。おじゃまします。
私は行政に関係する人間です。
確かに行政の側は情報提供していますけど、PDFがメインですね。
これでは二次的利用には適していません。
うちの職場では一部エクセルやワードのデータ型式で情報提供していますけど、それを受けるにはエクセルなりワードなりをインストールする必要があるわけで、なかなか難しいですね。
おっしゃるとおり、人手が足りないという問題や、情報分野のスキルが低いという問題もあります。
Googleさんの提案はごもっともと思うものの、実現にはいくつものハードルを乗り越えていく必要がありそうです。
それでも、乗り越えていかなければならない問題だとも思います。
情報をオープンにすることは、行政の責務ですから。
会議ご参加、お疲れさまでした。
投稿: ハク | 2012/07/05 19:25
ハクさん、こんちは!
私自身は行政の方とも仕事をする機会があるため、
今の公務員の人員と「本来の業務」を考えてみると、
そのまま仕事を増やすことでオープンデータの作成と
公表&提供させることは、非常に酷な事だな…と感じてます。
専門部署あるいは課を設け、そのための人員を確保しないと
オープンデータ化はできないのでは?と思いますねぇ。。。
(理想はその課内で完結して出来ることではありますが…)
今現在のPDFでの提供は、文書をそのままPDFに変換できる
作る側の利点と、どの端末でも文書の体裁を崩さず、
そのままの形で見られるという観点での提供だと認識しています。
WordからPDF化できるように、そのまま変換が出来て、
相手が希望するオープンデータに書き出せればいいのですが、
文書の体裁あるいはフォーマット形式によっては、
どうしても現状は「手直し」が必要になりますものね。
(場合によってはゼロから作り直しになりますし)
普段エクセルでマクロ組んで使っていたデータを、
印刷物としてPDFに出力して配布するだけなら造作もないけど、
それをオープンデータに変換して配布とか考えると……
うーん、頭を抱えますよねぇ。。。
会議を傍聴していた私、実際問題としてクリアすべき課題が
多い上に細かいような気がしております(苦笑)。
投稿: 濱祐 | 2012/07/05 22:20