海上自衛隊呉史料館「鉄のくじら館」
呉の街の中にある潜水艦の正体は、海上自衛隊の広報施設でした。
ここは大和ミュージアムとセットで見るといいかもしれませんね~。
(私は仕事で呉に通う身なので、そうはいかないのではありますがw)
海上自衛隊呉史料館(愛称:鉄のくじら館)。実物の潜水艦ほか、戦後復興の一翼を担った日本の海の機雷除去(掃海作業)や、潜水艦の発展と現況などを、歴史的な流れで紹介展示する史料館です。
写真ではよく見えないけれど、潜水艦の裏にある建物が史料館の本館で、潜水艦はそのまんまの陸上展示。、乗艦して内部を見学することができます。
最初のパネル展示で驚いたのだけど、太平洋戦争で日本近海に、こんなに機雷を撒かれてしまっていたのだなぁ…、全然これ知らなかったなぁ……。
写真が小さくてわかりにくいと思うけど、数字はすべて機雷の個数で、そのうちの黄色表示は感応式の機雷です。で、瀬戸内海はこれがほとんど。(機雷総数66050個のうち、感応機雷は10703個で、その感応機雷の6割以上が瀬戸内海に撒かれたという…)
「機雷」が何なのかわからない人に、ザックリ説明させていただきますと、かつて英国のダイアナ妃がアンゴラの地雷除去活動に熱心だったニュースがありましたけれど、その地雷の海用が「機雷」です。(海の中の地雷が機雷です) その機雷に船が触れると爆発するわけですが、瀬戸内海に多く撒かれた感応機雷は、船が触れなくても、船が出す音や磁気などに反応して爆発するタイプで、当然ながら機雷は、軍艦などの艦船や民間のタンカー、漁業船、旅客船の区別なく、触れたり反応すれば無差別に爆発してしまうもの。
前述で、瀬戸内海に撒かれた感能機雷は10703個と書きましたけど、戦時中は4157個、戦後の機雷処分数は6249個で、残り297個は海の中のどこかに潜む計算であることも、この史料館のパネルでは示しています。(平成26年5月17日現在)
近年、都市部の再開発によるビル建設の工事現場などで、空爆時に落とされた不発弾(爆弾)が見つかり、現地を立ち入り規制などをさせて陸上自衛隊がこれを処分するニュースが時々流れますが、パネルを見ると、海もこれが毎年のように行われているのだなぁ……と。
この史料館では、1990年(平成2年)の8月に発生したイラク軍のクウェート侵攻で始まった湾岸戦争後の海上自衛隊派遣によるペルシャ湾の機雷除去作業(掃海作業)についてのパネル展示もありました。戦後初の海外での自衛隊の作戦は、私も賛否両論あるのは承知しておりますが、あらためて「お疲れさまでした」と声をかけたい気分になります。日本はもう、自国の平和だけを考える時代じゃないですよね。。。
広島市の平和活動グループ・団体が、呉市に対して大和ミュージアムと、この史料館の建設・開館にあたって、旧海軍の戦艦やゼロ戦を展示することで平和が語れるのか、戦争の美化につながるのではないか、これらを子どもたちにどのように伝えていくか、などと疑問や批判の声を多くあげていた時期があったと現地で聞きました。これらもぜひ活用してほしいと私は思いましたね。
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