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2018年11月に作成された記事

我的少女時代 Our Times

携帯電話やSNSを使えばすぐに誰かと連絡を取り合える今の時代。そういうツールがなかった学生時代を過ごした私としては、この台湾映画はとても懐かしく、日本人としても「昔、コレと似たこと、流行ってたよね」「あれ見たことある」「ああ、私もやったことあるなぁ」と思うようなものばかり。非常にノスタルジックな映画でありました。

我的少女時代

また、この映画は高校生の男女が思いを寄せ合う青春映画ではありますけれど、主人公のヒロインとその彼氏、ふたりの成長と変化の物語でもあります。そして、それをより引き立てるのが、月日が流れても変わらない香港四天王「アンディ・ラウ」という存在の普遍性。その対比も実に見事な映画だったように思います。

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「君は今の自分が好き?純粋で夢にひたむきだった自分が恋しい?あの頃の君は今も君の中に?大切だった人たちを覚えてる?」
恋も仕事も18歳の頃に夢想していた通りにうまくいかないOL・林真心(リン・チェンシン)は、疲れたある日、ラジオから流れるDJのメッセージを耳にする。

高校の卒業ノート(プロフィール帳)を開いた林真心は、ページに埋め尽くされた「アンディ・ラウ」のプロマイドと、自筆の「夢はアンディと結婚」の文字に苦笑いを浮かべるものの、自身のプロフィールにシールで隠された「喜歡の人(好きな人)」欄に涙が抑えきれない。いつしかラジオからは少女時代の当時から夢中だったアンディの歌が流れ、林真心は18歳の高校時代を回想する――。

我的少女時代

物語のメインは1990年代の台湾が舞台。ボサボサ髪の眼鏡姿、ダサいファッションでもお構いなしの「男子が興味を持たない平凡女子」の主人公・林真心が、学校一のイケメン男子に片思いしているところから話は始まります。

ある日、林真心は「幸運の手紙(不幸の手紙)」を受け取り、校舎裏で片思いの男子に因縁をつけて絡む学園の不良ボス・徐太宇(シュー・タイユゥ)を目撃。妙な復讐心に燃えてしまった彼女は、彼に「幸運の手紙」を送ることに。

その手紙を読んでいる最中、トラックに衝突された徐太宇は、その取り巻きたちにより手紙の送り主が林真心であることを突き止め、彼女に「友達になろうぜ」と迫ります。

徐太宇に「使い走り」として使われる林真心は、無理やり授業をサボらされてローラースケート場へ。そこで徐太宇たちと他校の不良グループとの喧嘩に巻き込まれ、その罰として生活指導の先生からプール掃除を命じられてしまいます。

そのプール掃除をしている最中、林真心は片思いの男子が学園のアイドル女子と密会している現場を目撃し、思わず水の中に身を隠します。ふたりは付き合っていると勘違いした主人公は失意の中、そのままプールに沈んでしまいます。

その時、「あのバカのために死ぬつもりか?」と、水の中から林真心を引き上げたのは、あの徐太宇でした。実は彼も密かに学園のアイドル女子に片思い。そこで林真心と徐太宇は「失恋同盟」を結成し、ふたりを別れさせようと行動を起こします。そこから林真心と徐太宇の関係は「使い走り」ではなくなり、「友だち」として距離が縮まり始める――。

ここまでが映画の前半部分、およそ1/3くらいのあらすじです。主人公の林真心が徐太宇と出会い、彼に「友だち」として認められてからは、「男子が興味を持たない平凡女子」からどんどん変わっていきます。

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この映画では主要な登場人物の誰もが「変わりたい」と願っています。

冒頭の現代に生きるOLの主人公は、恋も仕事も描いていたようにならなくて、「もし18歳の私が、今の私を見たら…」と嘆き、そこから回想する1990年代の記憶では、ボサボサ髪の眼鏡姿で冴えなかった外見が(当時台湾でも人気だった内田有紀ばりに)イメチェンで大変身。相手となる男子たちについても、昔のような関係や本来の自分に戻りたいなど、姿と格好、そして生き方を模索して揺れ動きます。

また、劇中では「我們說沒事 就是有事(“大丈夫”は“大丈夫じゃない”)」や、「沒關係 就是有關係(“何でもない”と言えば“大あり”)」など、本当と偽りの気持ちの間に揺れ動く、心情を表す言葉や行動表現の「裏返し」も多く語られます。

青春映画とはいえ、これを観客として見せられるのは、正直に言って「むずがゆい」のではありますが、自分を出せない、自分らしさをなかなか見つけられない登場人物たちの姿には「もどかしさ」も半分くらい。大人たちから価値観を押し付けられ、決めつけられたりする姿には登場人物たち同様、見る側としてもストレス溜まります。

だけど結局、価値を決める、自分が「何者か」を決めるのは自分自身である、「自分らしさ」は自分で決める――そういった思いを主人公のヒロインが全校生徒の前で爆発させる場面は、これまでの「変わりたい」という伏線を一気に回収するような爽快さ。ここからは「青春」が一気に輝き出します。

我的少女時代

さて、この映画の後半はネタバレになるから書けないというよりも、何度見ても、思い出しても、わんわん泣いてしまってまとめられない、というのが正直なところ(苦笑)。飛行機の中では絶対に観てはいけない映画、また1つ増えてしまいました…。

物語は高校時代の回想が終わり、現代の主人公が昔の輝きを取り戻したところで、あのまさかの香港の大スターが目の前に登場。この先が薄々と読めるベタな展開なのではありますが、どこかそれを期待して最後まで見続けてしまいます。

「我的少女時代」は、見る者の年齢を問わず、1990年代を知らなくても、誰もが懐かしさを感じることができる映画作品です。吹き替えなし・字幕なしでも伝わります。

若いうちの普段からSNSを使っている人たちにはちょっと想像しにくいかもだけど、昔は当たり前だった「時間をかけて待つ」という感覚は、実に味わい深いものがあります。レスポンスは遅いけど、相手や返事、言葉を待つ時間には、いろんな感情が湧いてくるものですからね。

「好久不見(久しぶり)」というセリフで終わるところも非常によかったです。


■私的少女時代 OurTimes
公開: 2015年8月13日(台湾)
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※台湾公開時の正式予告動画がYouTubeにあったので置いときます。
よかったらどうぞ!(ワイ、この予告編だけで涙が…)[2018/11/14追記]

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